2007年06月23日

百合姫S

一迅社ウェブサイト百合姫S特設ページ
http://www.ichijinsha.co.jp/special/yurihimes/

ゆりゆりゆり ゆりゆりりりー
ゆりはいいね いいよねー(もぴゅーん)

というわけで百合はいいものです。雑誌全体を見回しても百合ものしか載っていない脅威の漫画雑誌百合姫刊行開始から2年、百合姉妹からだと3年(のはず)。さらに百合姫の姉妹紙、百合姫Sです。百合姫の姉妹って言われると淫靡な響きしかありませんが、大体まちがってないでしょ、きっと。
百合姫の雑誌内説明では読者の7割が女性とのことですが、まあそれにあわせて姉妹紙のSでは男性作家や男性向け漫画を書いてた漫画家が多く、男の目からすると本誌よりメジャーな漫画家がそろっているというお得な感じの仕様となっております。
本雑誌の目玉は「これがわたしのご主人様」のまっつーの漫画ですが、個人的にはというか明らかに一部の人の目玉はあの「少女セクト」の玄鉄絢の漫画だと思うわけですよ。その玄鉄絢の漫画ですが、雑誌がかわってエロがなくなっても、変わらない百合漫画です。むしろこちらのほうがドラマが多くなってる分、濃厚といえます。しかもエロじゃないからって小学生ですよ。小学生同士なんていう恐ろしく濃い話ではないので安心してください。ていうかそうじゃないからむしろ余計に濃いかもしれぬ。
雑誌全体としてもなかなか漫画のクオリティは高いんですが、雑誌全体、漫画十五本(1ページのもあるけれど)で男キャラが3人しかいないという恐るべき濃密な百合ワールドですので、慣れていない人は食傷するんじゃないかと思います。劇薬につき扱い注意。好きな人はどうぞ。次の刊行予定も決まっているので座して待つべし。
posted by KUSFA at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月22日

『Re:ALIVE? 〜戦争のシカタ〜』

  こんにちは。ライトノベルの独房で、無実を訴え続ける者です。

  本日の一冊は『Re:ALIVE? 〜戦争のシカタ〜』(壱月龍一、ガガガ文庫)。第一回小学館ライトノベル大賞佳作入選作です。

  戦争が起きているらしい。戦死者ゼロの奇妙な内戦。
けれど、いち高校生に過ぎない拓真颯にとって、『戦争』はテレビ画面の向こうにあるものでしかない。バンドのメンバーや恋人と、平穏な日々を送る颯。
だが、彼の預かり知らぬところで、友人たちは戦争に加担していた。―――偽りの平和が破られたとき、颯が突きつけられたものは、冷酷な真実と、裏切りだった。 ……というお話。

 各章タイトルや、冒頭に掲げられる陶酔気味のポエムから(鳥籠と書いてせかいとルビをふっちゃってます)想像されるような地雷作ではありません。日常生活・友情→非日常・命の取り合い、という筋立て自体は目新しいものではありませんが、登場人物のキャラが立っていることもあり、テンポよく読めます。改行が多く、基本的には一人称俺語りであることもそれに寄与してますね。

  この作品に難癖をつけるとすればひとつ。これは戦争じゃない、ということ。
  この小説世界で行われる「戦争」は、いわゆる戦争とは根本的に違うものです。強化人間が出てきます。ドクターが登場します。魔眼が用いられます。薬を服用してパワーアップします。はっきりいえば、少人数の人外バトルで決着がつく「戦争」です。
  だから今のところ、戦争というテーマを扱った重厚な意欲作、という感じは受けません。近年、大量生産されている、「身近な人間とも戦わなければならない」小説の中で特に飛びぬけている点はないように感じられます。
  決断主義的な作品群に含まれると考えてもよいでしょう。この一冊がそれらの作品のうちで、突出したものになるかどうかの判断には、次巻を待たねばなりません。
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2007年06月20日

『携帯電話俺』

 こんにちは。ライトノベルの孤島で僻地医療に従事する者です。
 当方、ただいまガガガ文庫全レビューに向けて同文庫の本ほぼすべてを購入しており、財政難です。なので、ガガガ文庫の評価が辛くなってしまうのも仕方ありませんね。

 『携帯電話俺』(水市恵、ガガガ文庫)は第一回小学館ライトノベル大賞佳作入選作。
 ある朝、目覚めると携帯電話になっていた、という冒頭の異常なシチュエーションはともかく、ストーリーは全く面白くない。
 前半、携帯電話になって覗き見する大学生の恋愛模様が地味。ドラマ性希薄。
 中盤、唐突に謎の館に移動、強引に魔法ものへ。
 後半、とってつけたような姉妹愛の物語もひどく薄っぺらい。
 全体としてみると、山場が無く、まとまりに欠けている。なによりつまらない。

 許せないのは、あとがきで作者が「魔術師とか出てきますから非科学的なものが許せない人が読んでも面白くないですよ」みたいなことを書いている点。問題はそこじゃないよ。
 この小説が抱えている欠陥は、魔法ものとか好きな人間が読んでも微塵も面白くないことである。作者は、「主人公が携帯電話になる」ことのらくな説明として魔法を持ち出しただけであり、魔法全般についてろくな設定をしていない。というより何も書いていない。魔術師たちの背景説明も少ない。なのに魔法バトルをさせるものだから、延々、光の玉を投げ合うことになる。
 ライトノベルの「魔法」を馬鹿にしているような印象を受けますが。

 視野が携帯電話のカメラのそれの範囲にまで限定されてしまうとか、電源を切られない限り眠ることができないとか、携帯電話の送話口が聴覚器になっていて、聞き取れる音の質が人間とまったく違うとか、『携帯電話から見る世界』はものすごく丁寧に書かれています。評価できる点はそれにつきます。
posted by 狂乱 at 16:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月17日

プレステージ

さて、せっかくはじめたのに更新しないのもあれなのでやりましょう。今日は「プレステージ」。いきなり「一冊」じゃありませんが、細かいことは気にしないでいきましょう。僕は自分のブログの更新で忙しい。
原作はクリストファー・プリーストの『奇術師』。原作未読ですんで、詳しいことは知りませんが、いっしょに見に行った魚くんいわく、結構うまく映画化しているそうです。
二人の手品師が運命と因縁によって、いがみあっていく話。この主役である二人を演じるのはヒュー・ジャックマン(『X-MEN』のウルヴァリン役なんかが有名)とクリスチャン・ベール(『リベリオン』主演)。(何を代表作としたかで、レビュー書いている人の趣味は類推してください)。迫真の演技でお互いに恨みを募らせていく様がぐいぐいと話をひっぱっていきます。妻の恨み、女の恨み、マジックの技への妬み、そういったものが混ざり合い、複雑になっていく二人の関係とともに、二人のマジックはどんどんと難しく犠牲を強いるものへと発展していき、恐るべきラストへとなだれこみます。
二人の激しい生き様は共感を呼び起こすようなことはないもののひきつけられるものがあり、演技やセット・衣装のつくりなど見るべきところも多く面白いです。まさにニコラ・テスラとしか言いようがないデヴィッド・ボウイなど配役もいい感じではないでしょうか。
けど、あのオチには驚くしかないんですが。「プラチナ・ファンタジイ」叢書で原作が出ていることを忘れてはいけないのです。そう、これはファンタジーです。ミステリではない。いくらこのミスで上位をとろうと。あ、僕のミステリ感としては本格以外はミステリではないとは言いませんが、わりとそれに近い。
面白かったには面白かったけれど、手品が意外としょぼかったのにはがっくりした。ニコラ・テスラのマシーンはすごいものの、瞬間移動や弾丸つかみはタネが割れてしまえば寂しいものです(とは作中でも言われるのだけれど)。またお互いに手品を妨害しあうせいでまともに手品してない気がするのも問題かと。500ページ以上もある原作をカット処理によってうまく編集し、うまく見せているだけになんとなく物足りないところです。とはいえ、原作でいうなれば唐突だったところは丁寧に複線がはってあり、だいぶ親切になっているらしいし、冒頭のシルクハットが大量に並んでいるところとか、奇術師たちの舞台裏でのセットの準備だとか見るべきシーン、絵になるシーンは数多くあり、飽きません。2時間もあるのに楽しく見れるしね。
さて、どっちらけになってきたところで感想終わり。映画の感想なんてうまく書けねえよ! と叫びつつ次誰かよろしく。
posted by KUSFA at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月15日

『TRAIN+TRAIN@〜D』

 こんにちは。ライトノベルの辺境で地雷の解体処理にいそしむ者です。
 行ってみましょう「今日の一冊」第一弾は、倉田英之『TRAIN+TRAIN@〜D』(電撃文庫)。
 遠未来。惑星デロカには、巨大な学校列車に乗って、惑星中の都市をめぐるという特異な教育制度が存在する。
普通課の学校列車に乗り、普通の人生を選び取るはずだった少年・坂草礼一は、少女アリーナと出会ったことで、人生のレールから脱線する。
 アリーナが乗ろうとしていたのは、はみ出し者の集まる特殊学校列車「スペシャルトレイン」。アリーナに引きずられスペシャルトレインに乗車してしまった礼一の運命は。

 大きな物語の始まりを期待させる、完成度の高い第一巻、
 主人公の成長著しい、大スペクタクルの第二巻、
 青春ドラマの色濃く、脇キャラの活躍が楽しい第三巻、
 読後感さわやかな、お祭り騒ぎの第四巻、
 早く続きを読みたくなる、ピンチの第五巻。
 全巻に満ち溢れる青春のエネルギーとまっすぐな情熱が、近頃すさんだラノベばかり読んでいた僕の心を直撃しました。個人的には、破壊と虐殺を信条とする新興宗教「狼よさらば」の熱狂的信者にして武闘派シスターの、ルーがお気に入りのキャラです。

 しかし。
 第五巻の発売から、五年の月日が流れました。第五巻の終わりで窮地に陥った主人公は、いまだ救出されぬままです。
 ええ。分かっていますよ。分かっていますとも。ラノベにはよくあることだって。首を長ーくして待ちます。出る可能性が1%でも存在する限り、第六巻を待ち続けます。信じれば奇跡は起こる。たぶん。
posted by 狂乱 at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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