先日お伝えした通り、第一回本格ライトノベル大賞受賞作は伊藤ヒロ先生の『アンチ・マジカル〜魔法少女禁止法〜』に決定しました。
このような企画を行なうのは初めての試みということもあり、夏コミでの宣伝から賞の動向を追いかけてくださった方、さらにまだ本格ライトノベル大賞というのが何なのかよく知らないという方のために、賞の紹介を兼ねつつ今回の選考を簡単に振り返らせていただきたいと思います。
さて、本格ライトノベル大賞を開催することになった経緯は
このエントリを参照していただくとして、そこで発表したレギュレーションは以下のようなものでした。
・2009年10月から2010年9月までの期間に発表された作品であること。
・広義のライトノベルであればジャンル・レーベルは問わない。
・新人、またはそれに類する未だ高い評価を得るに至っていない作家の作品を中心に選ぶ。
アマチュアの一文芸サークルというフットワークの軽さを活かし、ライトノベルファンのあいだでもあまり知られていない良作・傑作を掘り起こして紹介するという目的に基づいてのレギュレーションとなっています。
上記のようなレギュレーション・選考方針に従って、九月末に次の六作品を正式ノミネート作として発表させていただきました。
・伊藤ヒロ『アンチ・マジカル〜魔法少女禁止法〜』(一迅社文庫)
・木戸実験『破小路ねるのと堕天列車事件』(スマッシュ文庫)
・籘真千歳『スワロウテイル人工少女販売処』(ハヤカワ文庫JA)
・綾里けいし「B.A.D」シリーズ(ファミ通文庫)
・北元あきの「竜王女は天に舞う」シリーズ(MF文庫J)
・江波光則『ストレンジボイス』(ガガガ文庫)
受賞作の選考は、先の連休に開催された京都SFフェスティバルの合宿にてSF研ライトノベル班による公開座談会という形で行なわれ、来場者の方々からもご意見やご質問をいただきながら侃々諤々の議論が繰り広げられました。
ノミネート作のいずれも会員が何らかの面で熱烈にプッシュしている作品であるだけに、多様な方向性をもつこれらの作品の中から一作を選ぶのは非常に悩ましく、議論も紛糾したところですが、最終的に受賞作を選ぶにあたっては次のような方針に従うことにしました。
1.作品の面白さが「ライトノベルとしての」面白さであること。
2.作品としての完成度のみならず、一点突破の長所、将来性や続刊に対する期待などを含めて総合的に評価すること。
3.賞の目的にふさわしい「隠れた名作」として胸を張って推せる作品であること。
こうした方針のもとでさらに議論を進めた結果、最終的に『アンチ・マジカル』と『ストレンジボイス』の一騎打ちということになり、会員五人による決選投票の結果、三対二という僅差で『アンチ・マジカル』の受賞が決定しました。
さて、初めはささやかな企画のつもりで開催した本格ライトノベル大賞ですが、Twitterなどを介して予想外に大きな反響を呼び、合宿でも多くの方に選考の様子をご覧いただきました。この企画を通して受賞作、ノミネート作に興味をもっていただければそれに勝る喜びはありません。賞の行方を見守ってくださった皆さん、企画をご覧くださった皆さんありがとうございました。
posted by KUSFA at 23:43|
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本格ライトノベル大賞
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