ついにガガガ文庫が完結しました。個人的に。もうそろそろ社会復帰をしたいので、ガガガは終わりにしようと思ってます。
期待賞最後の一冊『みすてぃっく・あい』(一柳凪、ガガガ文庫)に入る前に、今更ながらおさらいを。「期待賞受賞作」といえば賞を取ったものであるように聞こえます。が、その実態は、最終選考にこそあがったものの、審査員が「大賞」「ガガガ賞」「佳作」に推さなかった作品、すなわち誰一人マークをつけなかった作品なのです。
つまり、他の文庫では商業出版には至らない、最終選考どまりのものを、ガガガ文庫側は手直しを入れず(入れたらこんなことにはならない)出版しているわけです。ですから読めるレベルではない小説が世に出てしまうのは当然といえば当然。これは編集部の品位の問題であって、審査員を責めるべきではないのです。
審査員が非難されるべきはただひとつ、『虚数の庭』を見逃したことです。『マージナル』ごとき凡庸な小説を大賞にして、『学園カゲキ!』のようなトゥルーマンショーをガガガ賞にして、『RE:ALIVE』みたいな稚拙な人外バトルと、『携帯電話俺』のように微塵も面白くない小説に佳作を与えておきながら、『虚数の庭』が無冠だということ。
確かにこの小説は、150ページほど、冬休みの女子寮に残った四人の少女の他愛もない物語に費やされます。普通のライトノベルという観点から見れば物足りなく、退屈に感じるかもしれません。
しかし、この小説は、間違いなく傑作です。ライトノベルというジャンルを踏み越える飛び道具です。いきなり『法の書』を暗唱するキャラが出てきたりする、幻想系百合ミステリーです。私はこの一冊を、今年度ベストのラノベと考えます。
ネタバレの文章が書いてある口絵、三分の二までの内容がばらされているあらすじ、そして『みすてぃっく・あい』などというタイトルに改変し、こういう装丁にしてこの本を届けるべき人間から遠ざけた編集部、そして誰よりもこの作品を無視した審査員への怒りを。
作者の方、こういう理不尽な扱いにもめげず頑張って下さい。
ラベル:ガガガ