2007年07月17日

『楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史』

 試験期間ですね。「現実逃避日和」ともいいます。狂乱が土日に読んだ本は以下の四冊。
1『撲殺天使ドクロちゃん六』(口直しのために読みました)
2『楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史』(表紙買いして読みました)
3『つぎの岩につづく』(ラファティ好きな方に取り入るために読みました)
4『ゴーレム100』(現実逃避のために読みました)

 『楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史』(牧野修、ハヤカワ文庫)の表紙は本当に美麗。ハヤカワの表紙の娘に惚れたのは人生で三度目です。(あと二回は、『軌道通信』『ジョナサンと宇宙クジラ(旧版)』。)
 狂乱は牧野修初挑戦。のっけから、心を抉られるような良質奇想ホラーが並び、治っていないカサブタを次々はがされていくような、いやーな感覚を楽しんでおりましたが(ほめ言葉です)、「インキュバス言語」で爆笑。筒井康隆かよ!と思ってしまいましたが考えてみれば正当後継でした。
 オールタイムベストにランクインされた「踊るバビロン」でも、得体の知れぬイメージの激流に圧倒されました。もともとの物語が変なのに「武器」として生み出される物語も輪をかけて奇天烈。文章のリズムや注釈もあいまって異常さ倍増。
 でもまあ、個人的に一番好きなのは「演歌の黙示録」かと。演歌史に神秘主義をぶちこんだ怪作。
「彼のデビュー曲『黄金の暁恋唄』は北国で恋人のことを想いながら夜明けを迎える酒場女の歌である。が、その歌詞はユダヤ神秘主義思想の聖文解読技法ゲマトリアを用いて解読すると、イシス神を讃える聖句に満ちている。」
「そして決定的だったのが連続殺人鬼『演歌王』の登場だ。少女ばかりを狙って演歌の歌詞に見立てて惨殺していった犯人は、捕まえてみれば元演歌歌手。彼は演歌神秘主義者を自称し演歌の神に捧げるために少女達を殺したのだと語った。」
 万事がこの調子。『日本薔薇十字興業』って……黒井津楼膳(くろいづろうぜん)って…この計算ずくのどうしようもなさが素敵だ。

 久しぶりに5つ星な本を読んだなあ、という感慨で胸が満たされております。ていうか今までスルーしてきた自分がSFファンとして変なんだよ!反省。


posted by 狂乱 at 19:22| Comment(0) | TrackBack(1) | 今日の一冊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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