読書会
遠い未来、天の川銀河のほぼ全域が探検し尽くされてしまった時代。融合世界のラケシュは、ラールと名乗る謎の使者に出会い、孤高世界で発見されたというDNAに満ちたメテオを見せられる。孤高世界は銀河系中心のバルジにあって、150万年もの間、融合世界との意思疎通を拒絶してきた。ラケシュは孤高世界の生命を見つけることを自らの使命と感じ、友人パランザムとともにバルジへ向かう。
〈白熱光〉からの光と風に満ちた〈スプリンター〉。その農場で働いていたロイは、奇妙な老人ザックに出会う。ザックから提案されるままに、ロイは〈スプリンター〉各地での重さの計測を始めた。それは壮大な発見の過程の始まり、そして〈スプリンター〉をめぐる危機の始まりだった。
孤高世界の正体とは?ロイは何を発見したのか?そして二つの物語はどのようにして結びつくのか?ハードSFの極北と名高いグレッグ・イーガンの邦訳最新作。
13(火)『パシフィック・リム』(2013)4共33
上映会
2013年8月10日、サンフランシスコに太平洋の海溝から突如正体不明の巨大生物が出現し、世界中の都市を襲撃し始める。「怪獣」と呼称されたその生物たちに通常兵器では全く歯が立たず、人類は滅亡の危機に立たされる。人類は最終兵器として巨大ロボット「イェーガー」を開発、イェーガーの活躍により最初こそ人類優勢に持ち込んだが、海底からは更に強力な怪獣が次々と現れ…。昨年度公開されるや否や、特撮ファンの域を超えて広く様々なフリークにヒットした。監督は『ヘルボーイ』、『ブレイド2』、『パンズ・ラビリンス』等で脚光を浴びたギレルモ・デル・トロ。
20(火)長谷敏司「allo,toi,toi」(ハヤカワ文庫JA『My humanity』,創元SF文庫『結晶銀河 年間日本SF傑作選』)4共33
読書会
「【今さら、好きになるななんて言うな】」
わたしたちが日々受け取る情報は、美しい「子ども」のイメージで満ちあふれている。バラエティで、アニメで、CMで、ゲームで、あるいは映画で。そこには無数の「子ども」のイメージがあって、そしてそのどれもが健康的な輝きに満ちている。一方でわたしたちの社会には、「子ども」にたいして欲望の眼差しを向ける多くの人々がいて、そのような人々にたいして嫌悪の眼差しを向けるまた多くの人々がいる。向こう側にはどこまでもイメージがあるだけで、こちら側にはどこまでも人間がいるのみである。
主人公・チャップマンは終身刑の判決を受けた囚人だ。彼は八歳の少女に対する強姦致死の罪で刑務所に送られ、いまは日常的に他の囚人から激しい暴力を加えられている。ある日彼は性犯罪者矯正プログラムの一環として疑似神経制御言語ITPを脳内に埋め込まれた。その日チャップマンは輝かしい少女の像をITPによって幻視する。やがて彼女の存在はチャップマン自身の醜悪な欲望のすがたを暴き出し、さらには彼に向けられる眼差しの中に潜むグロテスクな構造をも炙り出してゆく……。
長谷敏司は2001年に第六回角川スニーカー大賞金賞を受賞してデビュー。代表作に『円環少女』シリーズ、『あなたのための物語』、『BEATLESS』。緻密な思索と確かなストーリーテリングで支持を集める。本読書会では、長谷敏司の代表的短編である本作を、できるだけ忠実・丁寧に解説します。
30(金)ポール・オースター『ガラスの街』(新潮文庫)4共33
読書会
「ニューヨークは尽きることのない空間、無限の歩みから成る一個の迷路だった」
ミステリー作家ダニエル・クインは、突然かかった間違い電話をきっかけに、名前を偽り探偵として依頼を受ける。それは依頼人であるスティルマン夫妻の夫ピーターの父親、人間の堕落に関する自身の妄執的な学説に囚われた父親から、ピーターを護ってほしいというものだった――。クインを翻弄するのは理不尽なまでのナンセンスな偶然か、あるいは明確な恣意か。事態が進行するうちに、クインは自己を喪失しながら探偵稼業にのめり込んでいく。現実と虚構が錯綜し、それは我々読者にとっての現実と物語の認識をも揺るがし始める。
本書『ガラスの街』は現代アメリカ文学の巨頭ポール・オースターの第一長編であり、「ニューヨーク三部作」と称される初期三作の第一作。後に続くオースター作品群に通じるエッセンスを含め、オースター作品の魅力もご紹介。
これらの読書会・上映会は基本的に6:30より4共33にて開催します。なお4共33教室は吉田南キャンパスの4号館の3階にあります。
今年も18時〜18時半頃、中央キャンパス・クスノキ前で看板持ちを予定しています。
会員が例会教室・開催場所まで案内いたしますので、新入生の方はクスノキ前でお待ちください。
例会教室・開催場所に直接来てくださってもかまいません。どうぞふるってご参加ください。