読書会はまず、著者のアイザック・アシモフの紹介および姉妹短編集『ロボットの時代』や同作者の長編『鋼鉄都市』シリーズの紹介から入りました。アイザック・アシモフは一九四〇年代から活動を始めたSF作家であり、「ロボット工学の三原則」いわゆる「ロボット法」を最初に作り出したとしてSF史上に重要な人物です。そして課題本の『われはロボット』がその最初期の短編を収めた短編集であることを紹介しました。
アシモフの『われはロボット』を書くまでの来歴については、『ロボットの時代』に挿入されたアシモフ自身の解説を参考にしつつ、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』やカレル・チャペック『R.U.R』に遡る「ロボットの創造は人間の領分を越えた振る舞いであり、天罰が下されるべきものである」というロボット像に対するアンチテーゼとしてのアシモフのロボット像、という解説をしました。すなわち、アシモフにとってのロボットとは、「信頼」できる「製品」であり「人類の友」であるロボットなのです。
その後、各短編に対して紹介とレビューを行うという形式で読書会を進行しました。
「陽電子頭脳」はチューリング完全なのかという疑問や「USロボット&人造人間株式会社」の企業体質について、九番目の短編「災厄のとき」に描かれるマシンによる完全な計画経済についてや同短編に描かれた東西冷戦終結後の世界予想についてなど、語ることはいろいろとありましたが、あまり深く考察することはできなかったかな、という印象です。
最後に参加者全員が一人ずつ感想を言い合いましたが、「古典と思っていたが歴史的なものを無視して単純に面白く読めた」「五〇年以上昔の作家なのにアイデアが凄く、そんな古い作品だとは信じられない思いだ」などの感想が出されました。
次回の読書会はグレッグ・イーガンの「しあわせの理由」、五月八日 (火) 於・4共32です。どうぞふるってご参加ください。